Mompreneurs

注目のママプレナーにインタビューMOMPRENEURS STORY

# 001

松本 ルミ

Rumi Matsumoto

Hair Dresser

どんなときでも自然体で。
人と“比べない”ことが笑顔のコツ

活躍中のママプレナーの方にインタビューしていく「MOMPRENEURS STORY」。1人目に登場していただくのは、「ママプレナーズ」の告知動画にもご出演いただいた、ヘアメイクアーティストの松本ルミさんです。動画の中で、松本さんは「自分のおかれた状況を、人と比べない。それがママプレナーとしての第一歩だと思います」とおっしゃっています。その言葉にたどり着くまでに、どんなものがたりがあったのでしょうか。若くして起業され、子育てと並行して17年、ママプレナーとして仕事を続けている松本さんに、ご自身のストーリーをお話いただきました。

松本 ルミ 松本 ルミ

2015/5/18 16:00

Profile

松本 ルミ(Rumi Matsumoto)/ 有限会社グラマー代表。短大卒業後、国内メーカー勤務中にヘアメイクに目覚め、1998年に東京・表参道にてメイクアップオフィスを設立。ブライダルをはじめとするヘアメイクのアテンド、メイクアップセミナー等を中心として、国内外問わず幅広い事業を展開している。10歳になる男の子のママ。

◆公式サイト http://www.glamor.org/

仕事も結婚も、そして出産も。いつか自分もと自然に思っていた

仕事も結婚も、そして出産も。いつか自分もと自然に思っていた

松本さんがヘアメイクアーティストとして起業されたのは、なんと26歳のとき。しかも、全くの異業種である国内大手メーカーからの独立でした。偶然の出会いから、何かに導かれるように、この世界に入られたそうです。

「会社員時代に、たまたまカットモデルをしたことがあったんです。スタイリストさんが洋服を選んでくれて、ヘアメイクしてもらって、ショーに出るというもの。そこではじめて美容業界の仕事にふれ、興味を持つようになりました」

その後、ヘアメイクの世界にのめりこんでいったという松本さん。ヘアメイクの学校に通い、会社員とのダブルワーク期間を経て、退職後はさらなるスキルアップのため、ロンドンへ留学。帰国後、しばらくはご自分が卒業したメイク学校の講師をされていました。そのときに出会った人たちの存在が、起業へ向かう大きなパワーになったのだとか。

「周りの人に背中を押されて、少しずつ起業に気持ちが傾いていった感じですね。とはいえ右も左もわからず不安だらけだったので、最初は同じメイク学校の講師をしていた仲間に声をかけて、事業をスタートしました」

目の前の仕事に情熱を注ぐ一方で、ご自分の将来についてはどう考えていたのでしょうかーー?

「30歳までには結婚したいという、漠然とした夢はありましたね。結婚したら当然子どもも産むだろう……と、何となくセットで考えてはいました」

家族やスタッフとの関係づくりに、試行錯誤しながら進み続けた10年間

家族やスタッフとの関係づくりに、試行錯誤しながら進み続けた10年間

起業後の厳しい下積み時代を経て、少しずつ、つながりはじめた人とのご縁や大きなチャンス。会社の仕事が軌道に乗ると同時に、松本さんにはプライベートでも大きな転機が訪れます。独立して5年目、31歳のときにご結婚され、その2年後に第一子を出産。このときのことを、松本さんはこう振り返ります。

「当時ははじめてのことばかりで、正直、スタッフや周りの人にかなり迷惑をかけてしまいました。みんな協力はしてくれたけれど、私自身が人のことを考える余裕が全然なくて。だからきちんと、子どもを産む準備をする時間をつくるべきだったと反省しています」

そしてもう一つ、ご家族とのことで忘れられないできごとがあるのだといいます。基本的には旦那さまが子ども好き・家好きで、家事・育児全般に積極参加してくれているそうですが、そうしたスタイルに落ち着くまでは、やはりいろいろなことがありました。

「私はよくも悪くも、玄関を一度出てしまえば、仕事と育児のスイッチを切り替えられるタイプなんです。自分でも恐ろしいくらいに。それが愛情の量と同じにされてしまうと困るんだけど、やっぱり人からはそう見られてしまうこともあって。あるとき、いつも子どもを預けていた義母に突然呼ばれて、厳しくお説教されたことがありました。働きすぎ、こんなの普通じゃないと。仕事のことを理解してくれていると思っていたから、本当にショックで……」

しかしこのできごとが、松本さんにとっては仕事と育児のバランスを見直す、いいきっかけになったそうです。ご家族との関わり方、子どもへの接し方、仕事との両立……試行錯誤しながら前に進み続けた結果、最終的には「時が解決してくれた部分も大きかった」のだとか。

自分軸から、次の世代へ。1人の経営者としての強い想い

自分軸から、次の世代へ。1人の経営者としての強い想い

お子さんも10歳になり、ご本人のキャリアも、事業規模も充実している今。松本さんが見つめる「これから」の在り方をおうかがいしました。

「若いころ、60代の女性経営者からいわれた言葉があるんです。女性は40歳を過ぎると、『仕事を一生懸命やってきたけど、もうこのくらいでいいかな』と思うものよ、と。そのときは『そんなの嘘!』と思ったけれど、今自分がこの年齢になってみて、それがすごくわかるようになりました。それは決して何かをあきらめるとか、前進を止めるということではないんです。今まで自分目線だったものが、自分を信頼してくれている仲間やスタッフ、そして次の世代に向くということだと思います」

自分の会社にいるスタッフが、もっと自分たちの仕事を誇れるように。今みんなが取り組んでいる仕事を、スタッフがやりたいと思っていることを、もっと明確なカタチにして世に出していきたいーー。経営者として、強くそう思うようになったそうです。

その一方で、ご自身の働き方については、どのようにお考えなのでしょうか。

「ヘアメイクを通じて、目の前の女性が元気になってくれるということ。そうした機会や場所を提供していきたいという気持ちは、ずっと変わっていません。それはこれからも変わらないと思います。だからこれから50歳、60歳になっても、この仕事を続けていたいですね」

子どもは10歳で自立する? 転機を迎えた今、思うこと

子どもは10歳で自立する?  転機を迎えた今、思うこと

「息子は今小学4年生なのですが、3年生の頃から少しずつ自立がはじまったような気がします。だから今、すごく慌てています(笑)」ーーお子さんの話になると、にこやかな松本さんの笑顔がさらにほころびました。

「子育ての期間は短い、とよく言われますけど、あれは本当にそう! 今まで仕事にかなりの時間を割いてきましたが、いざ子どもの巣立ちを目の前にするとね……。年齢でいうと0歳から小学校に上がるまで、大体2年ごとにステージが変わり大変でしたけど、10年目で“自立”というもっと大きな転機がくるような気がします」

息子さんが親離れするまで「もう本当に時間がない!」と思い、現在は毎日1分でも早く家に帰り、お子さんとの時間を大切にされているそうです。

 


 

[編集部より]お話を聞いていると、こちらまで自然に笑顔になっていくーー。終始にこやかにインタビューに答えてくださって、取材が終わるころには、私たちはすっかり松本さんのファンになってしまいました。経営者としての顔、そして妻・母としての顔。きっとそれぞれの役割に悩み、苦慮されたこともあったでしょう。でも私たちが出会ったのは、飾らず自然体で生きている、1人の女性としての「松本ルミさん」だったように思います。(Photo by Junko Sugai/Text by Yu Oshima)

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