Mompreneurs

注目のママプレナーにインタビューMOMPRENEURS STORY

# 011

内海 裕子

Hiroko Utsumi

Web Producer&Editor

次世代を担う子どもたちのために
幼少期からのグローバル教育を

1週間からの「プチ親子留学」をはじめとした、幼少期からの英語教育・グローバル教育・世界各国の子育て教育情報を発信するサイト「Glolea![グローリア]」。その編集長を務めているのが、ウェブプロデューサー・編集者の内海裕子さん(株式会社タイドハーツ代表)です。フリーランスとして長年にわたり、さまざまなジャンルの、とても多様な事業を手がけてきた内海さん。非常に多岐にわたるユニークなキャリア・経験のなかで、現在力を入れている幼少期からのグローバル教育というテーマにたどり着いたのはなぜかーー今回はその背景にある、さまざまなストーリーをおうかがいしました。

内海 裕子 内海 裕子

2016/8/3

Profile

内海裕子(Utsumi Hiroko)/株式会社タイドハーツ代表。フリーのウェブプロデューサー・編集者としてさまざまなメディアや新事業の設立支援などに携わる。結婚・出産を経て「親子留学」に出会い、2013年に事業を法人化。2014年にちょっとグローバル志向なママ向けの教育情報を取り扱う「Glolea![グローリア]」を創刊し、編集長を務めている。現在、7歳になる男の子のママ。

◆ちょっとグローバル志向なママのための教育情報サイトGlolea![グローリア] http://www.glolea.com/

フリーランスの自由な生き方・働き方を理想として

フリーランスの自由な生き方・働き方を理想として

「27歳のとき、担当していたメディアで、ある料理家さんを取材したことがあるんです。ご自宅兼アトリエがあるのは都内からすごく遠い避暑地。そこでどんな場所に住んでいても、小さな子どもがいても“仕事が向こうからやって来る”というワーキングスタイルがあることを知り、これは理想的な生き方だなと思ったんですよね」

そう話してくれた内海さんは、とてもユニークなキャリアの持ち主です。大学時代は微生物の研究に取り組んでいたものの、卒業後にすぐ単身渡米。現地のネイティブの子どもたちが通う公立小学校で日本文化を教えていたかと思えば、帰国後はウェブメディアを運営する会社に入り、ウエブプロデューサー・編集者として活躍。プライベートでは、5〜6年にわたり都内のシェアハウスで世界20か国以上の人と共同生活をしていたそうです。

冒頭で触れた料理家さんをはじめ、会社員ではない生き方を選び、世界どこでも自分らしく、自由なスタイルで仕事をする人たちと接することが多かったという内海さん。フリーランスや小さな会社を起ちあげて仕事をする友人たちからも、「ヒロコはフリーランスの方が絶対合っている!」といわれていたのだとか。

「3か月やってみて続かなかったら転職すればいいと思い、一念発起。フリーランスのプロデューサー・編集者として独立してみることにしました。でも、たまたま良い出会いに恵まれて、気づけばそのまま7〜8年がたっていたんです」

そんな内海さんの働き方が大きく変わったのは、独立して4年が過ぎた頃。結婚・出産を経験してからのことでした。

かつて磨いた専門知識が仕事復帰の原動力に

かつて磨いた専門知識が仕事復帰の原動力に

それまでは、バイタリティあふれる仕事人生を送ってきた内海さん。しかし旦那様たっての希望もあり、お子さんが2〜3歳になるまでは仕事をセーブし、育児に専念することに……。

「正直なところ、当時は完全に母子のみの“孤育て”状態。きつかったですね。それまで社会と接点を持たずにいたことはほぼなかったのに、いきなりでしたから」

やはり、仕事をしたい……そう切実に思い、内海さんはお子さんが2歳のときに編集者としての仕事を細々と再開。それまでのキャリアの中で培ってきた『睡眠』などの専門分野を活かし、書籍の執筆などを手がけるようになりました。

「もともと、一度興味を持ったことは徹底して深堀りしたくなってしまうタイプなんです。睡眠については、Webメディアで編集者をしていた頃、睡眠研究の第一人者である先生の担当になって猛勉強したことがあったんです。あとになって、それが自分自身のキャリアに活かされるとは思ってもみませんでしたね」

そしてさらに、大きなターニングポイントとなる仕事が舞い込みます。それは、とある外資系企業のプロジェクトで、事業の日本初進出をWebマーケティングのプロの立場からサポートするお仕事でした。海外での経験や語学力を買われてメンバーとなった内海さんは、事業に奔走するなか、あるひとつの課題意識を抱くようになったといいます。

「メンバー間の文化や言葉が違う状況で、適切なコミュニケーションを取れる人が少なく、プロジェクトがスムーズに進んでいないと感じたんです。大人になってしまうと、こうした状況を改善するのは非常に難しい。子どもの頃から、世界との接点をもっと持ち、お互いの文化や環境を理解し合い、スムーズにコミュニケーションがとれるようなメンタル面・語学面の素地を養うべきだと考えるようになりました」

「親子留学」の可能性を感じ、新たな事業をスタート

「親子留学」の可能性を感じ、新たな事業をスタート

自分たちの世代はなんとかなるとしても、子どもたちはこれから更に世界の人たちとコミュニケーションを取らなければいけない機会が増えていくはず。それなのに、中学校の “This is a pen.”からはじまる英語教育のままで良いのだろうか?ーー内海さんは、この課題を次の世代に残してはいけない、と強く感じるようになります。

そんなときに、たまたま見つけたのが「親子留学」という言葉。ちょうど手がけていたプロジェクトがひと段落した、2013年頃のことでした。

しかし当時はまだきちんとした情報がほとんどなく、内海さんは自己手配でハワイ・フィリピンの現地プリスクールへプチ親子留学を決行。そこでの経験から、大きな可能性を感じたそうです。

「こんなに魅力のある市場なのに、親子留学は誰も本気で手がけていないし、その魅力を伝えきれていない……それならば私がチャレンジしてみよう! と思ったのです」

「親子留学」の将来的な可能性や、幼少期からのグローバル教育・外国語教育の重要性を確信した内海さんは、その魅力を広く伝えるため、新しいメディアを立ち上げることにしました。それが「Glolea![グローリア]」です。

「街中の英会話教室で学ぶのも素晴らしいことだけれど、その先にあるのは実際の体験だと思うんです。世界にはいろいろな言葉があって、母国語以外に話せる言語が増えるとこんなに大勢の人とコミュニケーションができる……海外に出てみると、それを子どもなりに肌で感じるんですよね。だから、ちょっとグローバル志向なママや、子どもの英語教育に関心のあるみなさんにはぜひ『親子留学』にチャレンジしてほしいなと思っています」

1週間からのプチ親子留学を推進したり、幼少期からの英語教育・グローバル教育情報を発信するために、世界各国のママ、親子留学経験者、プリスクールの先生方、英語教育の専門家の協力を得ながら内海さんは株式会社タイドハーツを設立。本格的な事業をスタートさせました。今後もメディアでの情報発信を中心に、さまざまな活動を展開していく予定だそうです。

仕事も家庭も、夫婦2人で ハーフ&ハーフに

仕事も家庭も、夫婦2人で ハーフ&ハーフに

かなりバリバリと働いている印象を受ける内海さん。家庭との両立はどうされているのか……とお話をうかがったところ、エンジニアをしている旦那様を、自分の事業に巻き込んでしまったのだといいます。

「昔から、一緒に仕事ができる人と結婚したいと思っていたんです。といってもはじめは夫と事業をやっていく構想ではなかったのですが、いつの間にか(笑) 仕事上の議論を家庭まで引きずり、家庭でのことを仕事でも引きずり……毎日、小さなバトルは絶えませんけどね」

同じ仕事をしていると、お互いの状況がつぶさにわかるので、家事や子育てもそれぞれで分担。ときにはケンカをすることもあるそうですが、常にフェアであるように、夫婦ふたりで心がけているのだとか。

ちなみに4歳ではじめて親子留学に参加した息子さんは、現在、次のプチ親子留学や本格的な留学に向けて、世界各国の先生方とオンライン上の英語レッスンを受けているそうです。

「今はほぼ毎日受講しているのですが、各国の先生方と楽しくコミュニケーションを取ることにより、世界中に信頼できる人たち、大好きな人たちが増えているようです! きっと彼の中では国と国との境界線の概念はあまりなく、世界はまるごと自分の場所であり、自分の好きな人達はちょっと遠くにいるけれど、とても身近だと感じてくれているのではないかと思います」

 


 

 

[編集部より]ほんとうに多彩なキャリアをお持ちの内海さん。 現在手がけているグローバル教育事業以外にも、プロデューサー、編集者としていろいろな経験を重ねていらっしゃって、全部ご紹介できないのが残念です……! 出産から復帰される際に、かつて身につけた専門知識が活きた……というお話はとても興味深く、多くの方のヒントになるのではないかと思いました。「親子留学」にも大きな可能性を感じますし、これからのご活躍に注目しています!(Photo by Junko Sugai/Text by Yu Oshima)

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