Q1
柳澤:田原さんは、今どのようなお仕事をされているのですか?
田原さん:いろんな仕事をしているのですが、受験生に向けた物理のオンライン講座の運営。反転授業の研究という4500人のオンラインコミュニティーの代表をしていて、そのコミュニティーでオンラインのワークショップを定期的にやっています。あとは、ズームやオンライン講座の立ち上げサポーターやコンサルタントの仕事もしています。他には、IAF Japan(国際ファシリテーターズ協会日本支部)の理事をしていて、いろんなイベントにも関わっています。
Q2
柳澤:一番長くやられているのは、どのようなお仕事ですか?
田原さん:オンラインの仕事は、受験生用の物理の講座を2005年からやっているので、12年経ちます。元々は、河合塾の予備校の講師をする一方で、自分の物理の講義を動画にしてオンラインで販売する副業をスタートしました。それを7年ぐらい続けたタイミングで、オンラインだけでもやっていけそうだな・・・と確信したところで、100%オンライン、対面は0%に踏み切りました。
Q3
柳澤:現在、オンラインの生徒さんは何名いますか?
田原さん:更新している人もいるので、200~300名位ですね。
Q4
柳澤:会社をつくられた経緯について教えて頂けますか?
田原さん:大学院生の時に学生結婚をして、いろんなトラブルがあって、中退しました。2004年の時に、パートナーの体調も悪く、「私も仕事をしたいけど、もうキャリアもストップしちゃったし・・・仕事ができない」みたいな話になって・・・。そこから、「じゃあ、会社創って自分たちで仕事すればいいじゃない!」みたいになりましたね。「で、何やる?」「じゃ、予備校の授業をオンラインで配信すればいいじゃない?」っていうことで、2005年から始めました。僕たちの場合は、この仕事がやりたいから会社をつくった訳じゃなかった。必ずしも言われているステップが正しい道ではないですね。
Q5
柳澤:オンラインにしたきっかけは?
田原さん:最初は先行投資がなくて、すぐに始められる仕事だなというのが大きかったです。理系だったので、とりあえず見様見真似でホームページ作り・・・。インターネットでビジネスやっている人は、後ろでどんなことをしているのだろう・・・みたいな。ビジネスのメカニズムを調べて理解して、それを自分の物理のオンライン講座に応用するためにはどうしたらいいのだろうか?と考えました。抽象化して具体化する思考が得意だったのですが、この積み重ねの中で、ビジネスを構築するのも同じだなと感じました。実際やってみて、「結局はコミュニケーションなんだな!」と痛感しました。メールマガジン送ると、それが返ってきます。そのメールに関して、反応があるわけです。何だかバーチャルなコミュニケーション空間が出来るのです。その空間に巻き込まれていくと、何か応援してくれる人がどんどん増えて、その場所が栄えていくっていう・・・。
柳澤:田原さんは、実践型で常に実験!その繰り返しの連続だなと話を聞いていて、すごく感じました。全て体験談!それは、すごく説得力がありますよね。
田原さん:腹落ちするというのは、体験と概念の合致!概念がないと体験は探せない!概念として知っているからこそ体験が見つかる。合致すると概念は自分のものになる、使える知識になる、ということだと思うんですよね。
Q6
柳澤:集客は、どのようにされましたか?
田原さん:物理の講座のほうは、一通りの集客はやりましたが、反転授業のほうは、集客はしていないですね。最初は、「反転授業って何?」っていうところから始まって、それが次の時代のキーワードになりそうだな、という直感がはたらきました。まずは、反転授業のブログを作りました。その後に、web会議室で読書会を始めました!5~6人で始めてから、反転授業について論文や本を読み、ディスカッションを8回ぐらいした後に、1回行き詰まってしまいました。ちょっとしたきっかけで勉強会を再開し、「反転授業オンライン勉強会無料」というバナーをブログに貼っていたら、それと同時のタイミングで、佐賀県武雄市で反転授業についてNHKで放送されていて、それを見てネットで検索した人達が一気に僕の勉強会に申し込んできました。その時点で110人の申し込みがありました!!それをキッカケに、毎月100人ぐらいのペースでFacebookグループに人が入ってくるようになり、それがずっと続いて、現在の4500人にまで増えました。
柳澤:特に集客というよりは、その流れによって皆さん自身からグループに集まってきたという感じなのですね!実は、私もその一人で・・・(笑)知り合いのビジネスコンサルタントの方に「面白いグループがあるから入ってみたら~?」というお誘いがあったんです。そこで、グループに入らせてもらって、そこで私の事業に田原さんが興味を持ってくれて・・・「面白そうですね!」っていうところから繋がりましたしね~。
Q7
柳澤:物理のオンライン予備校をスタートしてから、それがずっと続かないということを、どのように予測してきたのですか?
田原さん:海外から何年か遅れて、日本に情報やモノなど入ってきますよね。例えば、カーンアカデミーが生まれて英語圏の教育現場にどういうことが起きたのかということを考えれば、1~2年遅れで日本にも同様のことが必ず起こるはずで、カーンアカデミーみたいな日本バージョンいうのが絶対に出てくる!と思っていました。その後、どうなっていくのかは予想できないから、いろいろな可能性の種を蒔きました。反転授業もその一つでした。だから、反転授業だけではなくて、それ以外にもいろんな種を蒔いていて、生えてきたやつにリソースを注ぎ込んでいっているということなので・・・。先見の明があるというわけでもないです。常に何か10個ぐらい種を蒔いていますね。
Q8
柳澤:ビジネスパートナーでもあり、ライフパートナーでもある奥様との挫折はありましたか?
田原さん:いや!挫折の連続で~(汗)失敗して、難しくなった状況をどういう風に戻せばいいのか、っていう繰り返しでしたね。
Q9
柳澤:その挫折をどのように乗り越えて来たのですか?
田原さん:自分と全く違う考え方を持っているので、かなり深い対話をしないと理解できないです。自分の方が正しいっていうのはなかなか手放せないから、ずっと平行線のままで悪化していく・・・っていう状況で実際に、関係性が、ものすごく悪化していったわけですよ!あるところで「なぜこんなに意地張って頑張っているのだろう・・・本当に自分にとって大事な物は何だろう・・・」って考えたときに、自分のほうに引っ張るのをやめました。そうしたら、世界が反転するように変わって、今までの正しいと思っていたものが間違いに見えて・・・価値がないと思ったモノが、すごく価値のあるモノに見えていきましたね。
Q10
柳澤:奥様との深いコミュニケーションいつからはじめられたのですか?
田原さん:今から10年ぐらい前ですね。毎日一緒に一時間もお茶を飲んでいます。
Q11
柳澤:ママプレナーズに興味を持たれた理由と、なぜ応援してくださるのかを教えて頂けますか?
田原さん:女性起業家の集まりは、今の男性優位社会からみると不利な所に置かれていますよね。今の社会にパラダイムシフトを起こしたいと考えたとき、発想を変えて、いっしょに新しいことをやっていこうとしてくれる人は、有利な立場にある人ではなく、不利な立場にいる人たちだと思うんです。もう一つは、大学院を中退したときに、ジェンターの問題にぶつかりました。つまり、自分は男社会のピラミッドを駆け上っていく戦士として育てられていたから、脇目も振らずに駆け上っていたわけです。結婚すると、パートナーは、物理的に同じ場所にいても世界からの扱われ方が全然違うんですけれども、そこになかなか気づくことができずに、ギャップと軋轢が生まれました。5年ぐらいして、ようやく自分が見ている社会ではなくて、女性から見ている社会が段々と・・・感じられるようになりましたね。
今、社会をどういうふうに変えていったらいいのかなと思ったときに、「教える人・教わる人」の分離もそうですし、「上司・部下」もそうですが、社会のコミュニケーションが縦社会になっていますよね。それをどう変えていいのかと考えた時に、トップが変わるということは、期待できないと思います。上の人は、その仕組みの利益を得ている人達なので、その人達が変えようなんて、なかなか思わないですよね。その仕組みに我慢できなくなった人達が、周辺で勝手にいろんなことをワシャワシャ始めるっていうところから、社会を変えていくしかないだろうな、と思っています。
Q12
Samantha:田原さんの1日のスケジュールを教えて頂けますか?
田原さん:朝5時に起床して、すぐに…ほんとうにすぐ朝ご飯を食べますね(笑)7時からは、ジョギングを30分〜40分しています。8〜9時にオンラインMTG行い、その日によって時間は違いますが、9時~16時の間1時間半は夫婦でティータイムを取ります。教育や将来のことを話す時間が必要だと思うんです。その時間内で、お昼を食べたり、執筆したり、動画編集したりしています。16時~18時にはオンラインMTGを行います。1日にオンラインのMTGは二回があり、その後に夕飯です。20~21時半は仕事時間で、オンラインイベントなどを終えて、22時半までには寝ますね。
Q13
柳澤:これから、田原さんが出版される本はどのような内容ですか?
田原さん:「Zoom(ズーム)*」で人を引きつけて世界を変えてしまいたい!という革命の本ですズームに興味を持って読んだ人は、「ズームを使ったら、こんなにすごいことができるんだ!社会を変えられるんだ」と気づいてほしい。「社会を変えたい!」という人には、「ズームを使えばこうやって変えられる!」と理解して欲しい。両方のタイプの人に読んで欲しいですね。
*Zoom(ズーム):オンライン会議システム
Q14
柳澤:今まで多くの本を出版されてますが、今まではどのような内容の本ですか?
田原さん:今までに、9冊だしていて、全て物理の教科学習の本でしたね。今回初めてビジネス書で違うジャンルの本なので、ここから違うステージが始まるな!という感じです。
柳澤:話を聞いていて、とてもわくわくしました!今後が楽しみですね。有り難うございました。
田原さん:こちらこそ、有り難うございました。
Fin.