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ココロの声を、聞いていますか?[連載第2回]

“気になっていること”を書き出して、心の整理をする| ココロの声を、聞いていますか?[第2回]

“気になっていること”を書き出して、心の整理をする| ココロの声を、聞いていますか?[第2回]

 

みなさまこんにちは! 臨床心理士の北嶋尚子と申します。このたび、Mompreneursで連載を担当させていただくことになりました。月1回のペースで、情報を発信していきたいと思います。よろしくお願いいたします。

臨床心理士の資格を取得して、早10数年がたちました。一児の母になった今も、カウンセラーとして仕事を続けています。母として、妻として、職業人として……自分自身の経験を通して知った、さまざまな心理学の知識やストレスへの対処法、コミュニケーションのコツなど――日常のふとしたシーンで役立てるヒントを、身近なエピソードをまじえながらご紹介していきたいと思います。ママプレナー®としてがんばっている方をはじめ、みなさまの毎日をよりいきいきと、充実したものにするための一助になれば幸いです。

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忙しい人が、特に陥りやすい心の状態とは?

 

みなさんは毎日、仕事や家事、育児などで多忙な日々を送っていると思います。あまりにも忙しすぎて、「何から手を付けたらよいかわからない」「やることがありすぎてやる気がしない」という状態から抜け出せなくなることはありませんか?

例えば次のようなケースです。


Aさん(女性、30代)は、旦那さんと、保育園に通う息子さんとの3人暮らし。ご自身は、フルタイムで仕事もしています。仕事はもちろん、育児も家事も、毎日やることがたくさんあって、追われるように時間が過ぎていく日々。それなりにこなせている時は気分がよいのですが、最近は自分の思うように用事が処理しきれずに、イライラすることが増えたそうです。自分ばかりが苦労しているように感じられて、家族に対してもついきつく当たってしまい、自己嫌悪に陥ることも多いのだとか……。


 

きっと、Aさんと同じような環境でがんばっているママプレナー®の方も多いのではないでしょうか? このAさんのお話を聞いたカウンセラーは、次のようにアドバイスしました。

 


カウンセラーはまず、Aさんの心の中を整理するために、どんな些細なことでも構わないので、今頭に思い浮かんでいる「気になっていること」「負担に感じていること」を、全て具体的に紙に書き出してみるように伝えました。

すると、Aさんは次のようなことを書きはじめました。

 

【Aさんが書き出した事柄】

・ 仕事に関連のある本を読んで勉強したい

・ 資源ゴミ(段ボール)をまとめるのがめんどくさい

・ 子どもの予防接種の予約をとらなくちゃ

・ 子どものおもちゃで部屋が散らかっていて嫌だなあ

・ なんでこんなにやることがいっぱいあるんだろう

・ 夫はどうしてあんなにのん気でいられるんだろう

 …etc.

気になることを思いつくままに書き出してみたAさん。すると……「資源ゴミの片付けは、私じゃなくても夫に頼めばやってくれるかもしれない」、「予防接種の予約は、何となくめんどうくさいと思って後回しにしていたけれど、電話1本で済むことだし、今日すぐやってしまおう」など、頭の中が整理されて、気になることを解消する方法が一つひとつ見つかっていったのです。

また、Aさんはその日、カウンセリングで書いたこの紙を持ち帰りました。それを旦那さんに見せたところ、旦那さんは「君がこんなにいろんなことを考えていたなんて知らなかったよ」と驚いて、いくつかの家事を自ら分担してくれることになりました。また、育児に対しても「毎日5分タイマーをセットして、ゲーム感覚で子どもと一緒におもちゃの片付けをしてみよう」という提案もしてくれたのだそうです。

(※プライバシー保護のため、複数の事例を合成・加工しています)


 

 

心の「外在化」によって、解決の糸口が見えてくる

 

頭の中にあるもやもやした状態のものを、一旦、全て紙に書き出す。心理学では、それを「外在化」と呼んでいます。「外在化」には、次のようなメリットがあります。

① 気になることを一通り書き出すだけで、気持ちがスッキリする。

② 自分のおかれた状況が客観的に見えるので、まず何をすべきかがわかりやすくなる。

③ 「見える化」することで、他者と共有することが可能になり、他者の理解や協力が得やすくなる。

 

忙しすぎて何から手をつければよいかわからなくなってしまったときは、「あれもやらなきゃ、これもやらなきゃ!」と、頭の中がゴチャゴチャの固まりになって、それに圧倒されてしまいがちです。ですから、そんなときは一旦深呼吸して、頭の中にあることを手元の紙に「外在化」してみてください。「外在化」によって心の整理をすることで、不安や焦りしかない状態から「やればできる!」という自信を取り戻していけるはずです。

 

北嶋尚子(きたじま・なおこ) 臨床心理士

Writer

北嶋尚子(きたじま・なおこ) 臨床心理士

2004年、臨床心理士の資格を取得。以来、精神科クリニックや大学、企業など、さまざまな現場でカウンセラーとしての仕事に従事。日々がんばっている人が、よりいきいきと、より健やかに毎日を過ごしていくためのサポートに取り組んでいる。

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