カウンセラー自身が悩んだときはどうしているのか?
普段、私は臨床心理士として、相談に来られる方々が、問題を解決していくプロセスをサポートする仕事をしています。「カウンセリングを仕事にしているのだから、本人はストレスを感じたり、悩んだりすることはないのでは?」と思われる方も、もしかしたらいらっしゃるかもしれません。しかし、臨床心理士やカウンセラーも人間です。決してそんなことはありません。私も、育児のことで悩んだり、夫との関係性の中でストレスを感じたり、自分のキャリアについて迷ったり、いろいろな場面でつまずきながら生きています。
しかし臨床心理士は、ひとつの専門スキルとして、自分の精神状態を把握するための訓練をしています。そのため「いま自分が悩んでいるな」とか、「最近疲れていて、気分が落ち込みやすくなっているな」など、自分自身のココロの状態に、早めに気がつくことができます。自分の状態さえわかれば、どう対処すればいいかも自然とわかってくるのです。
ココロの声に早めに気づき、コントロールするためのヒントを
私の場合は実際に、自分の状態があまりよくないと気づいたとき、ストレスを感じたり、考えが行き詰まったりしたときは、そのメンテナンスのために、仕事で身につけた心理学の知識や技術が大いに役立ちました。特に子どもが生まれてからは、「産後うつ」の予防からはじまり、子どもの発達に関する「発達心理学」などの知識に、自分も助けられることが増えたのです。
ご自分の事業と、育児を両立されているママプレナー®の方にとって、精神面のセルフ・コントロールは欠かせないものですよね。自分の「ココロの声」に耳をきちんと傾けて、精神的なコンディションを整えていくために、私たち臨床心理士が持っている、知識や経験を役立てていただければと思います。
自分で対処が難しいときは、気軽にカウンセリングを活用してほしい
完全に自分だけで気持ちをコントロールをするというのは、難しいこともあると思います。病院に行くほどではないけれど、最近なんだか気分がすっきりしない。すごくイライラする。どうしても落ち着かない……そう感じたときは、決してご自分をダメだと責めたり、気のせいだと思い込んで目を背けたりしないでください。できれば5分でもいいので、意識して自分の時間を作り、ゆっくり過ごしてみてください。
そしてときには、私たち臨床心理士のカウンセリングを受けることも考えてみてください。カウンセリングといっても、大げさに考える必要はありません。第三者に話をするというだけでも、ご自分の気持ちや考えが整理されてすっきりしたり、答えが見つかったりすることもあります。継続的にカウンセリングの回数を重ねていくことで、より深い洞察が得られることもあります。ですから身構えずに、気軽に私たちに声をかけていただければと思います。
ココロの声にきちんと耳を傾けて、心身ともに健やかに、毎日の暮らしを楽しんでいきましょう。
▼次回から、北嶋さんがこれまでにカウンセリングの現場で経験されてきた事例を中心に、自分のココロを整えていくためのヒントや方法をご紹介いただきます!(編集部)